自宅の前に、人影がひとつ。


その影はわが家の塀に寄りかかって、ただじっと月を見上げてる。



見覚えのあるシルエット。



思わず足を止めてしまったあたしを、コウキが不思議そうに見下ろす。



「ん、どした?」



その声で、月を追っていた人影がこちらを向いた。