*嘘月とオオカミ先輩*




「あれ、そんなピアス持ってた?」

「ん? あぁ、コレ? かわいーでしょ?」

「……買ったの?」



オレの質問に、彼女は紅茶を啜りながら「ん、まぁね」と曖昧な返事をした。



ピンと来る。


こいつは自分では装飾品の類を買わないはずだから。

その首に下がってるネックレスも華奢な手首にはめられた時計も、全部オレが過去に買ったものだった。



だからきっとそのピアスも、誰かが彼女に献上した品に違いない。


そう思った瞬間、包帯でぐるぐる巻きにした胸の傷がパカッと開いた。