無愛想なのにどこか柔らかな雰囲気を持つ月島。
そんな彼女は酷く運動音痴な女の子だった。
それが判明したのは次のサークルの時だ。
「じゃー素振りが終わったら1人ずつボール打ってみよっか」
1年の世話係りになったオレは、ボールが山盛りになったスーパー仕様のカゴを引き寄せた。
ボールを1球ずつ手で放ってやって打たせる練習で、
「打つ準備をしたままボールの後ろに回って、ハイ」
1列に並んだ1年達が順番に次々と小気味よくボールを打っていくなか、
「ハイ次、ツッキー」
「はい、……あ、あれ」
「……」
月島だけは毎回、見事なまでの空振りだった。