恐怖短編集

「もうこんな時間!?」


急いでいても、女はある程度準備に時間がかかるもの。


あっという間に出勤時間が過ぎてしまった。


いつもつけている香水に手を伸ばすことなく、玄関まで一直線。


少しヒールの高い靴を履いて……。


「もうこんな時間!?」


その声で、握ったドアノブを離してしまう。