恐怖短編集

「今日も終ったわね」


そう言ってビールを飲み干す姿はまさにオッサン。


まだ未成年だというのに、その飲み方は哀愁タップリだった。


「今日も終わったわね」


同じ声が、もう一度部屋に響く。


栞はテレビの真横にいる、その声の持ち主へと視線を移し、そして微かに微笑んだ。


声の持ち主も、栞を見て微かに微笑み返したように見えた。


まるで、物まねをしているようにさっきから同じセリフを繰り返しているのだ。