恐怖短編集

☆ ☆ ☆ ☆


十七時十五分。


目の前には裸体の女と男。


さっきまで、人間だったソレは今は名も無いマネキン人形。


小さなナイフを突き刺すたびに、新しい赤い噴水ができあがり、あたりを染めていく。


「キレイよ。とてもキレイ」


もう心臓も止まっているけれど、何度も何度も刺し続ける。



恭子だったマネキンが、赤い色が掻き消していく。



そうよ、汚いものは消せばいい。汚いものは見えなくすればいい。



この二つのマネキンは汚いの。


マネキンになった今もまだ汚いの。