恐怖短編集

「男を教えてあげなさいよ。さぁ、早く」


私に背中を押されて、祐樹はバランスを崩しそうになる。


信じられないことを言い出す自分の妻に、祐樹はただ眼を丸くし、私と恭子を交互に見つめる。


何もしようとしない祐樹に、私は強く命令した。


「今、ここで」


苦しいほどの重い雰囲気に耐え切れなくなって、恭子が泣き出した。


そんな恭子の服を、祐樹が震える手で脱がしていく。


拒否することができた?


いいえ。


だって私の手には果物ナイフが握られていて、それの先端は我が子へと向けられていたから。