恐怖短編集

薬は黄色をしていて、舌の上で転がすといつまでも甘い味が続いていた。



コロコロコロコロ、まるで飴玉のようで、私は久々に頬が落ちるような思いをした。


お菓子なんて食べたの、何年ぶりだろう。


実際口に入れているのは薬だが、私はお菓子だと思って楽しんだ。


そして、三日後。


あの占い師の通り、私は午前一時頃に高熱を出した。


あまりにも苦しくてよく覚えていないが、母親がずっと叫んでいたことだけは記憶にある。


そして、数日が経つ頃、私は元気を取り戻していた。


熱も下がり、外へ出ても平気なのだ。


私は驚きながらも、あの占い師の事を少し見直していた。


もしかしたら、占いも薬も、すべて本当なのかもしれないと。



それからすぐの事、私は体に違和感を覚えて母親と共に占い師の元へやってきていた。