恐怖短編集

「娘さん、死にますよ」


占い師は、真剣な眼差しで母親に対してそう言った。


「死ぬ?」


驚いて聞き返す母親の顔を、今でも覚えている。


「えぇ、病死します」


占い師は、私が病死するまでのいきさつを淡々を語り始めた。


「三日後の午前一時に高熱を出します、その熱は何を使っても、どんな病院へ行っても下がらず、何も食べれなくなって行くんですよ。

そして、一週間後に死んでいる娘さんのビジョンが見えます」


水晶玉に手をかざし、額に汗を浮かばせながら、占い師はそう言った。


「そんな……!どうすれば?」


母親は今にも泣き出しそうな表情で、占い師にしがみつく。


「安心して下さい。限りある命を、永遠の命にかえる薬があるんです」


占い師はそう言い、母親をなだめた。


「永遠の命?」


そんなものいらない。私はそう言いたかったが、グッと言葉を飲み込んだ。


「少し高いですけどね」


いやらしそうな占い師の顔。