ふと足元を見れば、先ほどいた場所から一歩も進んでいなかった。
そして、つまづいてこけた石がやけに大きくて、これをどかさなければ進めないんだと、やっと気づいた。
けれど……、よく見ると、その石は母親の顔をしているのだ。
母親が、ジッとこちらを睨みつけている。
睨みながら「行かないで」と言っている。
私は、呆然としてその場所に突っ立っていた。
卒業生たちが次々に門を潜って外へ出る中、私は誰かに肩を叩かれて振り返る。
「卒業おめでとう」
そこには見慣れた母親が私にむけて笑っていた。
「ありがとう」
私も母親に微笑み返し、そう言った。
すると、母親はしゃがみこんで私のひざ小僧をハンカチでぬぐい始めた。
気づかなかったが、こけた時にケガをして血が出ていたらしい。
そして、つまづいてこけた石がやけに大きくて、これをどかさなければ進めないんだと、やっと気づいた。
けれど……、よく見ると、その石は母親の顔をしているのだ。
母親が、ジッとこちらを睨みつけている。
睨みながら「行かないで」と言っている。
私は、呆然としてその場所に突っ立っていた。
卒業生たちが次々に門を潜って外へ出る中、私は誰かに肩を叩かれて振り返る。
「卒業おめでとう」
そこには見慣れた母親が私にむけて笑っていた。
「ありがとう」
私も母親に微笑み返し、そう言った。
すると、母親はしゃがみこんで私のひざ小僧をハンカチでぬぐい始めた。
気づかなかったが、こけた時にケガをして血が出ていたらしい。



