恐怖短編集

卒業式当日。


私はまだ進路が決まっていなかった。


今まで何もかも母親の決められた道を生きてきたから、バレーという夢を持ちながらも何をどう決めればいいのかわからなかったのだ。


「大学に行くの? それとも就職?」


と聞いてくる友達の答えにも、曖昧にしか返事が返せない。


「たぶん、お母さんと一緒にいる」


そんな私の返事に、友達はへんなのって顔をして、私を置いて歩いていく。


あの子もその子もこの子も、私を置いて進んでいく。


やばい。


そう思って、私も歩き出そうとする。


けれど、私の足は何かにつまづいて、その場で転んでしまった。


すぐに立ち上がって、皆の背中を追う。


けれど、走っても走っても皆の背中はどんどん小さくなっていって、追いつけなくて、私は立ち止まる。