恐怖短編集

今までのイライラをすべてぶちまけるように、隣の家にまで届く声で


「あんたなんか母親じゃない!」


と。


一気に怒鳴り散らすと、その後には怖いほどの沈黙が私たちを包み込んだ。


唖然として私を見つめる母親。その母親をにらみつける私。


次の瞬間、母親は小刻みに震え始めた。


「お母さん?」


両目を見開き、カタカタと震える母親に、私は眉を寄せる。


「ダメよ……そんな子じゃないわ……カルシウム……ちゃんと取らせなきゃ」


呟くように小さくそう言う。


「どうしたの?」


不安になり、一歩近づく。


すると、母親は弾かれたように台所へ向かい、冷蔵庫からパックの牛乳を持って来たのだ。