「そこまで言うなら一回くらい殴ればいいじゃないか」


呆れたように父親が言って、それに対して母親は


「なんて事を言うの? 虐待じゃない!」


と叫んだ。


その一言から、「お前は異常なんだよ!」と父親がはき捨てるようにいい、夫婦喧嘩が始まった。


私はどうする事もできなくて、ただ私が一口クッキーを食べたせいでこうなったのだと、こわくて、震えて何も言えなかった。


結局、両親はそれで離婚。


私を引き取る事で散々もめていたらしいけど、母親が権利勝ち取ったのだ。


その時の母親の目は自信と優越感に満ちていて、ギラギラと光っていた。


私はその目を見た瞬間、寒気と同時にこの人に逆らってはいけない、と強く感じた。