恐怖短編集

「今日、全校集会を開いたのは」


おきまりのセリフが始まり、私は体育館の一番後ろでその様子を見る。


「もう知っている人もいると思うが、三年生の佐藤アリサさんと神谷鈴さんが、交通事故で亡くなりました」


私は声が出なかった。


どうしたの?


そんな真剣な顔してジョーク?


見てみなよ、みんな笑ってないじゃん。



「事故があったのは学校から帰る途中の道で、家の塀と背の高い花で視界がさえぎられていて、横道から出てきたトラックが二人に気付かなかったようです」


「なんだよ……ソレ」


半分、笑みを作る。


「トラックはよけたじゃん」