恐怖短編集

その時、誰かの視線を感じて後ろを振り向いた。


ちょうど3メートルほど離れた外灯の真下に、真っ白なマントのような服を、頭からかぶった男が立っている。


私は昼間体育館の裏で見かけたあの男を思い出した。


「誰だよあんた」


「君と同じ種類の者だよ」


男の声が、まるでトンネルの中にいるときのように響いた。


「はぁ?」


強気に出たが、恐怖から声が震えた。


「君はもうここにいちゃいけない」


男は真っ直ぐにこっちを向いていた。


その目は銀色にひかり、口元は一切動いていないように見えた。


「なんだよお前」


一歩前へ出た。


その瞬間、風が強くふき、牛乳瓶が倒れた。


顔だけ後ろへ向けると、中の水をこぼしながらカラカラと音を立てて転がっていく。