恐怖短編集

「それもいいわね」


母親が答えた。疲れた口調だ。


私は思わず部屋をとびだして、下の階へ駆けおりた。


「ちょっと、何があったの!?」


そう怒鳴り、リビングのドアに手をかける。


けれど、開かない。


「お母さん、お父さん!? 開けてよ!」



自分の手が痛いくらいにドアを殴りつける。


けれど、中から反応はない。


それところか、さっきまで聞こえていた話し声も聞こえず、電気もついていないことに気付いた。


私はドアから数歩後ずさりして、「どういうこと」と呟く。


何度も肩で呼吸をして自分を落ち着かせようとしたけれど、無理だった。


慌てて二階の自分の部屋へ戻り、床に耳をつける。


「こんなことになるなんて」


母親の声だ。