恐怖短編集


家に帰ると真っ暗だった。電気がついていない。


「お母さん?」


私は誰もいないのかとリビングへ向かう。


しかし、ドアがあかない。


木製のドアは最近調子が悪くて、開けるときに力が必要だった。


だけど、今日はそれがびくともしなかった。


いくらなんでも開かなくなるまでほっておくワケがないし、


カギがかかっているハズはない。元々鍵穴自体ないドアなのだから。



「ちょっと、なによ」


何度引っ張ったり押したりしても、そのドアは開かない。


「お母さん? いないの?」


ドアの向こうへ呼びかける。が、返事はない。



私はしかたなく、二階の自分の部屋へ戻った。


なぜだか今日はお腹もすいていないし、それよりも眠りたかった。


妙なことが色々とあったせいで疲れたのだ。



私は制服を脱いで着替えると、そのままベッドに入った。


眠りにつくのも、いつもより早かった。