恐怖短編集

「あぁ……」


そして、私たちはどちらともなく目の前の公園へと向かった。


小さくて遊具の少ない公園はそこら中に雑草が生えていて歩きにくかった。


きたない公衆便所の隣にある水道で、アリサは力いっぱい顔を洗った。


私はそれを見ながら、随分使われていなかった水道のため、水のサビた匂いが漂ってくるのを必死で気付かないふりをした。


「落ち着いた?」


公園のベンチで私はアリサに聞いた。


サビくさい水で顔をあらったアリサはまだ少し青白かったけど、「大丈夫」と頷いた。