恐怖短編集

「ね、どうしたの?」



何とか呼吸を整え、アリサにつかまれたままだった手を解く。


汗で生ぬるくなった手が少しふやけていた。


私はアリサの前に出て、その顔を確認した。


よく日焼けしていたハズの顔は青く、唇が微かに震えている。


「大丈夫?」


目の前で手振って見せると、アリサはようやく私を見た。


「鈴、見た?」


「へ?」


「見た? あの男」


「男?」


私は首をかしげ、それから「あ、あの白い服の?」と声を上げる。