恐怖短編集

慌ててアリサに駆け寄る。けれど、アリサは半分の口を開けたまま、目はうつろに宙を彷徨っている。


「アリサ? どした?」


強いくらいにアリサの肩をつかみ、揺さ振る。アリサの目が私を見た。


「本当だ……」


「へ?」


「体育館から、誰の声も聞こえてこない」


その言葉に、私は体育館の方へ耳をすませた。


確かに、誰の声も、物音一つ聞こえてこない。


でも、確かにみんなここにいたよね、体育館シューズ、みんなのがあったもん。


「きっと、真剣に話聞いてるんだよ」