恐怖短編集

相変わらずアリサの手にはしっかりと牛乳ビンが握られていて、中に入っている水が時々こぼれ出た。


けれど、本当になんであんな場所にあったのだろう?


昨日まであったっけ?


私は記憶をめぐらせるが、どうしても思い出すことが出来なかった。



教室へ入った途端、アリサが足を止めた。


下を向いていた私はアリサにぶつかってしまいそうになり、「何?」と仏頂面をした。


「誰もいないんだけど」


アリサが振り向いて一言いった。


「はぁ?」


眉をよせて、私はアリサを押しのける。見ると、アリサの言う通り教室には誰一人としていなかった。


もちろん、今日からイジメのターゲットになっていた生徒も。