恐怖短編集

ピシッ!


「へ?」


私は立ち止まり、振り向く。


「どした?」


立ち止まった私の目に移るのは残された一つの牛乳ビン。


一本だけ立った白い花。


そのビンに少しひびが入っていて、水がゆっくりと流れ出す。



その瞬間、背筋に冷たいものが這ったように鳥肌が立った。


「行こう!」


それを振り払うように、私はアリサの手を掴んで駆け出した。


走っても走っても、嫌な感覚が取れることはなかった。