恐怖短編集

☆  ☆  ☆

洋太は男の後ろをついて歩きながら、その後姿に息子の勇太を交差させていた。


部屋は思ったよりも広く、出口までには細い灰色の廊下を歩かなければならなかった。


重たい扉の音が、やけに遠くから聞こえてきていたのは、この広さが原因みたいだ。


「なぁ」


洋太は、後ろ姿の男へ話しかけた。


「何だ」


男は、振り返らずに答える。