恐怖短編集

目を見開き、前歯二本が抜けている歯を除かせながら、洋太は男へ怒鳴りはじめた。


男は、そんな洋太をただ黙って見下している。


「殺せない。そうだよな、お前に俺は殺せない」


無言のままの男に、洋太は更にガタガタと鉄格子を揺らし、大声で笑いはじめた。


「俺は一番最初の男のように、この天井から降ってくる液体で死ぬんだ。そうだろう?」


そう、箱の中の人間を殺す方法は、三つしかない。


液体か、電流か、炎。


この三つをローテーションで繰り返しているのだ。


好きに殺していいといいながらも、ちゃんとここには秩序があった。


そして、順番から行くと洋太は液体で死ぬ。


ということになる。


それが一番の脱出のチャンスだと言う事を、自分に言い聞かせていた……。