恐怖短編集

微かに、笑みさえ浮かべている洋太に、男はまた右の眉だけをピクリと動かした。


それを見て、洋太は思わず笑い出した。


「それ、あんたの癖か? 右眉だけ動かすなんて、器用だな」


おかしそうに笑い続ける洋太に、男は困惑したような表情を見せた。


そんな洋太に、今度は哀れむような顔になる。


とうとう精神的に追い詰められ、おかしくなってしまった。


きっとそう思ったに違いない。


しかし、遠くで扉の閉まる音を聞きながら、洋太は一筋の光を見出していた。


ここから逃げ出す、たった一つの光を……。