恐怖短編集

人間を恐怖のどん底へ突き落とすつもりだとすれば、全く違う話を聞かせる方が効果的だ。


同じ話を聞かせたところで、新しい恐怖心は芽生えないのだから。


しかし、洋太の疑問をよそに、男は話を続けた。


「女は、箱に入れられたまま叫び続けた。


『誰か! 誰か助けて!』しかし、その叫び声は誰にも届くことなく、天井から降り注ぐ液体によって、体をドロドロに溶かされ、死んだ」


「……だから、どうした?」


男が話し終えると同時に、洋太はそう言っていた。


話が終るごとに自分の死が近づいている。


その実感が、一瞬にして消えうせてしまったのだ。