恐怖短編集

たとえ、今の話がすべて嘘だとしても、言いようのない怒りがこみ上げてくる。


「確かに、俺には帰る家も頼る人間もいない。

だがな、お前なんかより数倍はマシな人間として生きてるんだよ!」


思わず声を荒げ、鉄格子にしがみつきながら怒鳴っていた。


「何が駆除だ! 人間を虫けらみたいに言いやがって。

お前はそうやって何人殺してきたんだ? 国がらみの殺人鬼め!!」


大きく肩で息をして、男をにらみつける。


男は表情を変えず、マスクの下から冷たい視線を俺に投げかけている。


「……殺せよ」