恐怖短編集

「う~うぅぅ~!!」


くぐもった声で叫び声を上げるが、それが誰かの耳に届くはずもない。


一体どうなってる? ここはどこだ? 何もない。ここは暗いだけで、何もない。


男は得たいの知れない恐怖から両目を見開き、鼻の穴を大きく広げて荒い呼吸を繰り返す。


俺は、どうしてここにいる?


誰かに連れてこられた?


誰に?


返ってくることのない疑問ばかりが、男の思考を埋め尽くす。


闇の中にその答えが隠れていないかと探すあまりに、男の目は真っ赤に充血し、瞬きをすることさえ忘れていた。



小さな暗い箱の中に、男の呼吸とうめき声だけが聞こえてくる。