恐怖短編集

☆  ☆  ☆


目を覚ましたとき、辺りは真夜中のように真暗だった。


手足を伸ばそうとしても、伸ばせない。


手足だけじゃない、体の自由がきかず、寝転んだ状態から起きる事もできない。


声を出そうとしても口が何かで塞がれていて、どうにもならなかった。


まだ30代前半に見えるその男は、イモムシのように体をくねらせて、必死に周りの状況を探る。


暗闇に目が慣れ始めた頃、男は自分が小さな箱に入れられているのだということに気付いた。


手足が縛られていなくても、身動きが取れるスペースはほとんどない箱。