恐怖短編集

今日はいつもよりゆっくり電車が走っているように感じた。


そう感じていたのは私一人ではなく、乗客それぞれが時間の経過に首を傾げていた。



それによって多少のざわつきがはじまったとき、私はようやく腕時計を確認する。


七時四十分。


とっくの前に二つ目の駅を過ぎている時刻。しかし、いまだにその駅が見えることはない。