恐怖短編集

目の前の六人の男たちを、左から順番に睨みつけていく。


「お前たちは誰だ」


洋太の口から、自分のものとは思えないしわがれた声が発せられた。


ホームレスをしている内にそこまで年をとった、という事だ。


その問いかけに、そこにいる誰もが反応を示さない。


まるで、洋太の声が聞こえていないかのような、すばらしい無視の連係プレーだ。


しかし、洋太だってダテに歳をくっているわけじゃない。


俺が今ここにいるのは、何か理由があるからだ。


そして、目の前にいる奴らは間違いなく、その『何か』を知っている。


と、いうことは、こいつらは俺が必要なハズだ。


じゃなきゃこんな檻にホームレスを閉じ込めるわけがない。