恐怖短編集

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そして、今、ここにいる。


途中から記憶がスコンと消えていて、目が覚めるとこの檻の中にいたのだ。


あの男にハメられた。


咄嗟にそう思った。


きっと、あの食べ物の中には睡眠薬か何かが入っていたのだろう。


けれど、身寄りも金もない自分をこんなところに連れてきて、一体何をするつもりだ?


普通じゃない状況下に置かれても、失うものが何もない洋太は、不思議と冷静でいられた。