恐怖短編集

目の前に差し出されたコンビニのおにぎりと、お茶。


それらが現実のものとは思えなくて、何度も目をこすり、瞬きを繰り返す。


しかし、どうやら幻ではなさそうだ。


「いいのか?」


すぐにでも食べ物に飛びつきたい気持ちを堪え、男に聞いた。


「あぁ」


男が頷くと、握りつぶしてしまいそうな勢いでおにぎりを掴み、乱暴に袋を破ってかぶりついた。


砂漠で見つけたオアシス。


まさにその表現そのままだ。


ご飯が喉を通るたび、感じる。


自分は生きている。