恐怖短編集

「あ、おはようございます」


周りの人の邪魔にならないよう、小声で返事をする。


「どうだい? 最近チカンは出る?」


電車と人の揺れに身を任せながら、車掌さんが私の耳元でそう聞いてくる。


どう返事をしていいのかわからなくて、私は曖昧な笑顔を見せた。


今、この瞬間も私は誰かにオシリを触られ続けている。


「また何かあったら、遠慮せずに言ってよ。


被害が多いようなら女性専用車両なんかも考えるから」