恐怖短編集

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彼の動きが止まった。


二日前、彼の頭を壁に打ち付けて以来、彼の動きが止まってしまった。


彼の口元は微かに笑っていて、『栞、愛してるよ』と、今にも優しい言葉をかけてくれそうに見える。


「どうしたの……?」


栞は、そっと彼の頬に触れてみた。


冷たい。


今までのぬくもりが嘘のように、とても冷たい。