恐怖短編集

だけど、一哉はこの時思ってもみなかった。


自分がその《人草花》を買うことになるなんて事は……。


それは、偶然通りかかった花屋での出来事だった。


普段、花なんかに興味はないし、目の前に花屋があったとしても気付かずに素通りするだろう。


けれど、バスの中であの噂を耳にしていたせいか、一哉の視線は自然とそちらへ向けられた。