恐怖短編集

「さぁ、かなづちで叩いてくれ」


クギが刺さった状態でも、いつもと変わらぬ口調の一哉。


「一哉……」


いくら五寸釘だといっても、頭を貫通させるほどの大きさはない。


これから、カナヅチで叩いて、どんどん、奥へ奥へとめり込ませていくのだ。


「栞、愛してるよ」


「……私もよ、一哉」


そして、再び栞の叫び声が部屋に響き渡った……。