恐怖短編集

あ……。


もう少しで見えそう。


「……て……」


自分で呟き、自分の言葉に目を見開く。


て……手!?


携帯画面にうっすらと見える、青白い手。


「ひっ!」


小さく息を飲み、携帯を投げ出す。


携帯は、地面だった私の手からアスファルトのホームに投げ出され、周りに響く大きな音を立てて落ちた。


そう、落ちたのだ。


しっかりと地面に叩きつけられ、画面がひび割れて砕け散った後、ソレはまるで生き物のように自分から線路へと滑って行った。


それを見計らったかのように、電車が騒音を上げながらホームへ入る。