海食によってできた洞窟の向こうに月が見える。


 丸く満ちた月は、荒れ狂う波間を明るく照らす。嵐が近いのだ。




 ――嵐なんて来なければいい。


 そうすればまた明日も笙子(ショウコ)に会えるのに。


 俺は、雲間から覗く月を見上げ、情事の後の気だるい体をようやく持ち上げた。