「ねえ、クレマチスの花言葉を知っている?」


 稜が知るはずはないとわかっていて、わざと問いかけた。


「さあ、知らないな」

 やっぱり、今日も稜の返事はそっけない。


「美しい心、っていうのよ」

 まるで自分で、自分を蔑むかのように笑みが零れた。


「なんだ、君にぴったりじゃないか」

 信じられないようなことを言う稜に私はそっと近づき、彼の首に両腕を巻き付けた。