「稜とね、話してたの。ウェディングブーケは、絶対美亜ちゃんに受け取ってほしいね、って」 そう言えば、麻里絵さんは式の途中でブーケトスをしなかった。 「稜も私も、美亜ちゃんの幸せをずっと願ってる。……だから、よかったら受け取って」 「……ありがとうございます」 私は、麻里絵さんの手からブーケを受け取った。 そっと横をうかがうと、稜ちゃんは友人たちに冷やかされ、声をあげて笑っていた。 ――私の視線に気がついて、微笑んでくれることは、もうなかった。