一度でいい。たった一度だけでも、貴方が私を抱いてくれたら、私はそれを糧に生きていける。 「稜ちゃん……お願い」 彼は私の願いを聞くと、辛そうに顔を歪めた。 『イヤ、言わないで』 「……ダメだよ、美亜」 『お願い、その言葉だけは稜ちゃんの口から聞きたくないの』 「美亜は、僕にとっては妹……みたいなものだから」 『呼ばないで、妹、だなんて』 「……ごめん、美亜」 私の願いは、受け入れてもらえなかった。