『…よく聞きな?』 緑は抱きつく僕を引き剥がし、僕と同じ目線になった。 『僕は…』 ドクン! 彼の体が大きく揺れた。 『だ……逃げ…』 苦しそうに何かを訴える彼に、僕は戸惑いを隠せない。 どうにも出来ずにうろたえていると、突然 空気が変わった。 まるで目の前の獲物に気付かれないよう気配を絶ち、殺気を抑えているかのような… ゾワッ、腕から頭めがけて鳥肌が駆け抜けていった。