止まってしまった僕の時間



『名前は?』


豪邸に着き、ふわふわのタオルで僕の濡れた髪を拭きながら彼は尋ねた。


なんて妖艶な声なのだろう、僕は思った。


なかなか答えない僕に、彼は怪訝な顔で僕を見た。


それに気付いた僕は、慌てて
『白夜』と名乗った。


『良い名だ。僕は緑。』


『リョク…。』


僕は彼の名を繰り返し呼んだ。