口を利けない 唇が開かない 足が動かない 助けも呼べない 全てがスローで… 妹を刺した男は、目を奪われる程に美しい少年だった。 15、6の少年は逃げる素振りも、はたまた僕を襲う素振りも見せない。 ただ、じっと僕を見ていた。 僕も、彼をじっと見ていた。 いつしか手足の震えも消えていた。 妹の血は、雨に混じって道路を這った。