その日の帰り、あやなにとっての一大事がおこった。

それは、バスを待つ時間におきた。


「あぁーバスぜんぜん来ないみたい。結構待たなきゃー」

「そう」


このとき。

あつしはもう覚悟を決めていた。

あやなに芽生えたばかりの恋心をつたえることを。

気づいたばかりの想いを伝えることを。


「あのさぁ。」

「なに?」

「野崎・・・じゃなくてあやなさ、何もおもってねぇの?」

「何を?」


とぼけているのではなかった。

本気であつしの言っていることの意味がわからなかった。

「だからさ、その・・・俺のこと」

「トモダチだとおもってるよ」

友達。

そう、信頼できる男友達。

こうおもっている。
あつしは違うの・・・?

「やっぱ。そうか・・・

なぁ?」

「ん?」


「・・・・・もし俺が、お前のこと好きだっていったら?」

「えー?あたしもあつしのこと好きだよ。」


「なら・・・こんなことしてもいいんだよな」

「え・・・・」

言葉はさえぎられた。

彼のキスによって。


唇を唇でふさがれたから。