「今日は俺が最初から作ってあげたよー」

そう自慢気に言う徹さんを見て少しだけ可愛かったのは内緒。

「あ、そうだ徹さん!」

そう言うとご飯を食べようとしていた徹さんの箸が止まった。

「?」

「徹」

「へ?」

「徹って呼んで。同い年なんだし。」

「んー…わかった。じゃああたしも柚って呼んで?みんなに柚って呼ばれてるし」

「えー?俺は柚奈って呼びたいかも」

「なっ?!/////」

急に名前で呼ばれて柄にもなく顔が真っ赤になってしまう。

「顔真っ赤!」

「だって急に名前いうから!しかも、かもってなによ!かもって!」

「かもはかもだって、ばーか」

「ばっ!徹に言われたくありませんー!」

「俺もー!柚に言われたくないー」

“柚”の呼び方に少しだけさみしさを覚えた。

あたしがなんでなのかに気づくのは、もうちょっとあとになってから。