「その時に翔太を追いかけてた『赤い人』が理科室に行ったんだよね? 翔太はその後、一階に下りて来て、あんた達の事を笑ったんだよ? そんなやつの事をかわいそうだとか思うわけ!?」


留美子だって笑ってたじゃない。


それに、それを言う必要があるの?


無駄に不信感を煽って、留美子は何がしたいんだろう。


「翔太……笑ったんだ?……なんだ……かわいそうなんて思って損した」


よほど悔しかったのか、ポロポロと涙を流す理恵。


言う必要がない事まで言うなんて。


でも、翔太みたいに、仲間外れにされる事が怖くて。


私は何も言えなかった。


「まあ、安心しなよ。あの後、明日香が理科室に行って、カラダを棺桶まで運んでくれたからさ」


涙を流している理恵の頭をなで、笑顔を見せる留美子。


でも、私はこの裏表の激しさに、奇妙な感覚に包まれた。


確かに留美子には、そういう一面があった。


でも、男子には良い顔をして、女子には素っ気ない態度を取っていた「カラダ探し」の前とは明らかに違う。


違うと言うより、真逆なのだ。


「そうだったんだ……良かった……ありがとうね。明日香」


「私は……理恵が運ぼうとしてたカラダを、代わりに運んだだけだから……見つけてくれた3人のおかげだよ」