その隙間から、例の目が私達を見つめる。


私は、内側からドアを引っ張られているんだと思い込んでいたけど……内側のドアノブには手が触れられていなかったのだ。


「入れねぇ……だと?」


私の言葉を聞いて、床に倒れ込む高広。


手がドアノブから離れた瞬間、ドアは閉められてしまった。


どうすればいいんだろう……私は何も考える事ができず、その場に立ち尽くした。







「まっかにまっかにそめあげて~」






こうしている間にも、歌は唄われ続ける。


高広も、もう限界だという事が、その姿からわかる。


頬が床に付き、動く気力も体力もないといった様子で、目も半分閉じていたから。






「お顔もお手てもまっかっか~」







もう、探す所なんてないのに……私達はこれ以上、何もできないまま、ここで殺されてしまうんだ。





そう思った時だった。


理恵が、何かを決意したような表情で、再び放送室のドアノブに手を触れたのだ。


「ちょっと! 理恵!? ここには入れないんだよ? わかってるでしょ!?」










『「赤い人」が、鳴戸理恵さんの背後に現れました。振り返って確認してください』