健司が、つかんだ綱を左右に揺らし始めたのだ。


「あしをちぎってもあかくなる~」



あれは、助けようとしているんじゃない。


殺そうとしているんだ。


「あかがつまったそのせなか~」



綱の揺れが、徐々に大きくなっていく。


「う、うわああああっ! な、何なんだよこれ!?」


翔太の悲鳴が聞こえる。


屋上にいるのが健司とわかっていたら、ふたりはその手をすぐに放しただろう。



「わたしはつかんであかをだす~」



理恵と留美子のふたりで、男子ふたりを引き上げる事なんてできるはずないのに。


きっと……わずかな希望にすがりついたんだと思う。


そうでなければ、冷静に考えればわかるはずだから。


「まっかなふくになりたいな~」


最後の一小節が唄われ、私の腹部が締め上げられる。